特別保存刀剣
『肥前一文字出羽守行廣(初代)阿蘭陀鍛』
刀剣種別 『刀』 katana
銘 『肥前一文字出羽守行廣 阿蘭陀鍛』 Hizen Ichimonji Dewa no kami YUKIHIRO . Orandakitae
日本刀 鑑定書『日本美術刀剣保存協会 特別保存 刀剣』 NBTHK 『Tokubetsu Hozon Paper』
時代『寛文頃』 Production age 『AD1663〜』
新刀位列『新刀上作』
切味位列『業物』
肥前の国には古刀期では見るべき刀工が少ない。しかし桃山時代に至って忠吉の出現で、忠吉一族一門が繁栄をきわめた。かれらは肥前佐賀の城主鍋島勝茂侯のお抱え工たちであり、橋本新左衛門尉忠吉(初代 肥前国忠吉)を祖として、その一族門葉も栄えた。肥前刀工の中でも初代忠吉、近江大掾忠廣、陸奥守忠吉、初代正廣、初代行廣の5人が特に技量が高く、肥前刀の五大刀工と言えよう。
初代行広は初代忠吉の孫にあたり、初代正広の弟で九郎兵衛という。寛永十六年二十二歳にて初めて刀を作る。正保五年の春に出羽大掾を受領、寛文三年に出羽守に転任。慶安三年長崎へおもむき、オランダ鍛冶について阿蘭陀鉄鍛を学んだという。「一」又は「一文字」を添えて切るが、江戸石堂派四郎兵衛則吉から一文字伝を受けて、習得しその意味を添えたものであろう。オランダ鍛や一文字伝が佐賀城下で評判になり、鍋島左京のお抱え鍛冶となり長瀬町に居住したと伝ふ。
この作品は行廣の一文字写しである。その刃文は下半分は蛙丁字乱れに重花丁字交じり、上半分は丁字乱であり、刃文は全体に鎬筋まで届くほどである。刃区から1寸ほど生刃が残り、ほぼ打ち卸しの健全さを保つ。匂は深く葉が頻りにかかり、丁字を貫く様に砂流しが幾重にもかかる。一文字を自負するだけあって乱れ刃は迫力があり上手で、間違い無く初代行廣の最高傑作である。ハバキは細密な工作の、本歌大名ハバキであり、鍋島侯が諸大名に送る為に打たせたものであろう。
『形状』鎬造、庵棟、反り尋常、中鋒、姿豪壮。
『鍛』小杢目鍛よく練れて美しく詰み、鎬地杢目流れごころにややざんぐりとした地鉄。
『刃文』刃区には1寸ほどの生刃が残り、下半は腰開きの蛙丁字乱れに重花丁字交じり、上は丁字乱れ、全体に足長く入り葉しきりに交り、焼は鎬筋まで高く焼き、匂深く、砂流し幾重にもかかる。
『帽子』乱れ込んで小沸、先小丸返る。
『茎』生ぶ、鑢化粧筋違い刃上り栗尻、目釘孔一。
『附』白鞘
『寸法(Size)』
長さ(Blade length)71.1cm、反り(Sori)1.5cm、
元幅(Width of moto)3.2cm、先幅(Width of saki)2.2cm、
元重(Thickness of moto)0.65cm 先重(Thickness of saki)0.5cm
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